ライブドア「シナジー」の正体(2)

前回からの続きです。

(4)以上のようなサービスの向上によって、債務者のポータルサイトの魅力が増して訪問者が増加し、その結果、ラジオ放送自体の聴取率が上昇し、サイトともども広告媒体としての価値が増加して広告収入が増加する。

いまよりサービスがよくなれば訪問者数は増すでしょう。それはわかる。番組とサイトの連動企画を増やせばページビューも増えるでしょう。でもその逆で、聴取率が上がるかどうかなんてわからないんじゃないの? 訪問してくる人は基本的にラジオを聴いている人なワケで、サイトを見ようが見まいが好きな番組を聴くんじゃないだろうか。

ラジオ放送自体の聴取率を上げるためには、既存リスナー1人あたりの聴取時間を増やすか、リスナー自体を増やすかしないといけない。

人がメディアと触れている時間は1日24時間を超えることはないわけで、その限られた時間を各メディアは奪い合っています。ラジオの場合、いまどき、ちゃぶ台に家族全員が集まって聴く、なんていうことはなくて、仕事(お店とか)しながら、勉強しながら、運転しながら聴いていることがほとんどだと思います。

ライブドアが1242.comの運営に関わることで勤務時間や通勤時間が延びるなんてことはおそらくないでしょうから、新規リスナーを獲得したり、既存リスナー1人あたりの聴取時間を増やすには、他のメディアに触れている時間を奪うしかない。

  1. 文字メディアから奪う
    新聞や雑誌を読む代わりに、ラジオを聴く、ということがあり得るか。
    保存できない・持ち運べない・流し読みができないラジオに、速報性と価格以外に優位性はあるか?
  2. 放送メディアから奪う
    速報性と価格という意味ではラジオと同等で、なおかつ動画の表現力を持ったテレビに勝てるか?

    結局テレビとの差である、「ながら」ができること(=目を使わない)以外にラジオの強みってないんじゃないだろうか。

  3. 他局から奪う
    これはすでに行われていることですよね。これは企画勝負であって、誰が経営するかとかWeb媒体を持っているかどうかは直接は関係ない。

    どんなコンテンツをうまく提供できるか。ライブドアが関わったところで、「ホリエモンのオールナイトニッポン」以外の企画があり得ますかね? 話題性による聴取者増加は考えられるけど、それだって短期的な話であって、長期的に聴取者が増える(ラジオを習慣的に聴く人が増える)かどうかはわからない。

    双方向性を生かすといいますけど、現状だってラジオでははがきやメールやファックスで双方向のやりとりしてますよね。livedoor.comで番組宣伝をすれば注目されるかもしれないけれど、それは広告の話(Web広告が安く出せる)であって、「ネットと放送のシナジー」というほどのものかどうか。

  4. 他の媒体に触れながら同時にラジオを聴く人を増やすことはできるか

    テレビとラジオの同時視聴は基本的にあり得ない。野球中継のように、同じコンテンツを同時に流す場合には使えるけれど、CMのタイミングが違ったりするのであまり広まるとは思えない。

    文字メディアとラジオの同時視聴もあり得るけれど、ニッポン放送はトーク(言葉)中心のAMラジオ。頭の中で言葉がぶつかってしまうので、音楽中心のFMに比べるとあまり「ながら」に向かないんですよね。電波の届く範囲が広いという利点はあるんですが。

    ビデオを見ながらラジオもおかしいし、CDを聴きながらラジオもあり得ない。

    ライブドアが関わることで1人あたりの聴取時間を増やすとしたら、(1242.comではなく)livedoor.comにアクセスしたとたんニッポン放送のストリーム流すとかで「ネットしながらラジオ聴く」層を増やすしかないでしょう。

なんにせよラジオ(ゆくゆくはテレビやレコードを考えているんでしょうが)のコンテンツをネットに、という方向でしかシナジーってないんじゃないかなあ。しかもそれが「いまより儲かる」かどうかもよくわからない。Appleは音楽配信で盛り上がってますけど、実際はiPodというハードでもうけてるワケですし。音楽配信に参入する各レーベルも「違法コピーされるよりはマシ」程度の認識のような気がしますし。

さらに続く。

関連ページ


クリック募金でちょっといいこと。(クリック募金とは?)

【クリック募金】ずっと地球で暮らそう。(コスモ石油)

【クリック募金】2005年スペシャルオリンピックス支援(味の素)

【クリック募金】アフガンやアジアの子どもたちのために(価格.com)

こんなネタもどうぞ:


1 Comments

  1. daifukusukeのにっき

    ライブドアとその周辺の報道等について〜続き2

    今回からライブドアが誰に対してこのゲームをしかけたのかを
    明らかにしていこうと思う。
    私たちはライブドアの想像上以上のしたたかさに気づく
    だろうし、その戦略の見…

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です