ニッポン放送・ライブドアネタに関しては、メディアの論調があまりにバカバカしくて萎えますね。テレビに出てくる評論家も政治家も言ってることがワケわかんない。著名人でまともだったのは経団連の奥田さんのコメント(asahi.comの記事、同じ記事のGoogleキャッシュ)くらいだったんじゃないか。
そんな中、日経のITページに東京地裁の仮処分の内容がアップされていて、けっこうおもしろかったのでちょっとツッコんでみようかと思います。以前書いた「『シナジー』ってなにさ?」って話の続きです。
以下、「債権者=ライブドア」「債務者=ニッポン放送」です。また、全部の資料が見られるわけではないので、本文の断片的な数字から話を進めているところがあります。勘違いもたくさんあると思います。あしからず。
(3) 債権者の主張
債権者は、債務者が債権者の子会社となった場合、債権者の行っていたインターネットビジネスと融合することにより次のような効果が得られると主張し、後掲の各疎明資料を提出している。ア 債務者がインターネットのポータルサイトを自ら運営することになり、(1)ラジオの聴取者を債務者が運営するポータルサイトに誘導して、会員化し、聴取者情報を把握することにより、広告主への訴求力の向上や聴取者にあわせた番組づくりができ、また会員化することによって商品代金の決済に必要な情報を管理することもできるため、代金の決算が簡易になり、商品販売も増加する、
「債務者がインターネットのポータルサイトを自ら運営」ってのがよくわかりませんが、これは要するに1242.comのサイトに会員ログイン機能をつけて、そのバックのシステムはlivedoor.comと同じものを使うということですかね。つまり1242.comのポータル化。ブランド価値からしてlivedoor.comに吸収、という話にはならないでしょう。
で、会員になると1242.comにアクセスしたときにニュースが表示されたり、ギガメーラーやらブログやらが使えるようになる。
ただし、会員からは「聴取者情報を把握」するわけだから、単純にlivedoor.comの会員登録だけでは済まなくて、自己申告で「私はこの番組を聴いています」という項目をデータベースに追加するか、アクセス記録から好みの傾向を取る仕組みを作らないといけない。さらに言うと、そうやって取ったサイト上のユーザ動態が、ラジオの視聴傾向と一致するかどうかをまず検証しないといけない。
そんな「会員」に誰がなるというのか。
現在、ニッポン放送のサービスサイトである1242.comというドメイン名はラジオ番組の中で連呼されていて、ネットにアクセスできる人には番組情報サイトとしてすでに認知されています。そこにさらに「会員になるとWebメールが使えるようになりますよ」と言ったところで何のメリットがあるのだろう。だれがわざわざ個人情報を登録したがるのか。
ちなみに現在livedoorの会員登録に必要な情報は、氏名、性別、生年月日、メールアドレス、郵便番号、業種、職種。さらに後で出てくる「livedoorウォレット」登録にはクレジットカード情報や住所情報も必要になります。ここでライブドアが言っている「会員化」というのはおそらく後者のことです。さて、どうやって会員を増やすか。
(アメ案)
「登録するともれなく番組オリジナルグッズをプレゼント」とか「現金○万円が当たるチャンス」とかいうキャンペーンを実施する。もちろんこのコストは後で出てくる収支計算には入っていないと思うし、これを聞きつけた目ざといlivedoorユーザが、「複数の新規登録→グッズをゲット→オークションへ」を繰り返すような気もする(livedoorIDは複数登録可能です)。
(ムチ案)
本気でやるなら「迷惑メール対策のため1242.comの公開メールアドレスはすべて廃止します。今後番組への投稿はすべてLivedoor会員になってからサイト上のフォームをお使いください」って話にするでしょう。しかしそれで増える会員数と、はがき・FAXが使えなくなって投稿できなくなるリスナーとどちらが多いのか。どちらがコンテンツの価値向上につながるのか。
たしかに会員化がすすめば便利でしょうけれど、その会員化自体が相当大変だと思います。(会員化のとんでもない計画は後で出てきます)
(2)ラジオで紹介した商品を債務者の営むポータルサイトのショッピングサイトで特集し、ラジオでは伝達できない視覚情報も提供することで、商品販売を促進するとともに、聴取者のニーズも捉えられることになるし、販売機会を獲得できる、
視覚情報付きのショッピングサイトは1242.com上にすでにありますね。
ページの右上に「会員ログイン」ってのがありますけど、会員化することで決済が楽になるというのもすでにやってます。
いまこれを使っていない人が、わざわざlivedoor会員になってlivedoorウォレットにも登録[wallet.livedoor.com]する理由は何か?
ライブドアがやることで、番組内の通販コーナーでのURL告知回数が増えるとか、ページが使いやすくなるとかはあるでしょう。その結果サイトアクセスという母数自体が増えるとは思います。ですが、アイデア自体に新しいことは何もなし。
(3)リアルタイムの放送を聴取できなかった聴取者に対して、過去の番組を有料でダウンロードする仕組みを債務者が運営するポータルサイトから提供することにより、課金収入を得ることができることはもちろん、ラジオ放送そのものへの聴取者の繋ぎ止め効果や満足度向上に役立つ、
これは注目です。先日書いた「ラジオ番組のダウンロード販売」ですよ。これはやって欲しい。大昔のオールナイトニッポンとかの音源探してきて売れるようになったら欲しがる人はいっぱいいると思う。関東の番組を世界で売ることによる広告価値の増大もあると思う。
・・・ニッチなニーズだと思うけれど(ぼそっ)。
長くなりそうなので次回に続きます。
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