けさ、TBS『サンデー・ジャポン』を見ていたら、高田万由子さんが市原の交通刑務所のレポートをしてました。
飲酒運転でひき逃げ、というようなケースが多いらしく、高田さんのインタビューに応じたのも酒がもとで死亡事故を起こした人でした。
同僚と酒を飲んで、運転代行でいったん家に帰ったものの、また同僚と落ち合おうと泥酔状態でクルマに乗って事故った、という男性に対して、高田さんが「なんでそんな状態でクルマに乗ろうとしたんですか」みたいなことを言うわけです。「被害者本人の人生や、大事な人を失う家族のことを考えなかったんですか」「それと引き替えにして同僚と会いに行く理由ってなんなんですか?」とかね。
典型的な「できる人」の優等生コメントなんですよね。そういうことを考えられない状態のことを「泥酔」っていうんじゃないのかと。
ここでご紹介するのが、下條信輔さんの『サブリミナル・マインド』。
この本のポイントは
- 人間は「意識はしていないが無意識に認識・判断・行動している」ことが多い
- 無意識の行動が先にあって、後で意識が理由付けをしている
- 人間は自分が思っているほど自分をわかっているわけではない
といったところでしょう。
具体的な実験をもとに話を組み立てているので説得力があります。「吊り橋の上で出会った異性は魅力的に見える」「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのではないか」など、人間がいかにいい加減かということがよくわかる話です。(こういう意味でも「本当の自分なんていない」んです)
で、本の最終章で犯罪と刑罰の話が例にあがっていて、「無意識に行動している人間」という人間観が「理性的で独立した個人」というものを基準にした近代以降のシステムに対する挑戦なのではないか、という展開になっています。
上の男性も「(理屈で考えれば割に合わない行動なのに)どうしてなんですか?」と詰め寄る高田さんに「どうしてでしょうねえ・・・」と絶句していましたが、自分でもワケがわからないんですよきっと。
じゃあなんで酒を飲むのか、というところが問題なわけです。酒が入らなければこの人たちも「理性的で独立した個人」なわけですから。
高田さんは「自分の甘えが原因です」と、これまたできる人の結論で、デーブ・スペクター氏は「アメリカでは被害者の死体を見せてショックを与えますよ」と興味深い話をしてました。刑務所の中でも更正のためのいろんなプログラムがあるということが紹介されていましたが、結局のところこの人たちって度を超した「酒好き」かつ「クルマ好き」なわけで、いくら教育されても、目の前にグラスがあれば手が伸びちゃうし、移動したけりゃクルマに乗っちゃうんじゃないかと。
この間の「レイプ犯は去勢しろ」じゃないですが、こう、脳の中でアルコールを受容する(アルコールで快感を得る)仕組みを弱める手術とか薬を研究したじゃほうがいいんじゃないかと思ったりしたわけです。
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