読売新聞の底力

昨年、自分の関わったある案件がウケて、新聞・雑誌・テレビから地方のラジオ局・海外の通信社の日本支部みたいなところまで、分野で言えば「企業・経済」だけではなく「家庭・生活情報」みたいな、いままでつき合いのなかったようなメディアから取材を受けたんです。

通常こういった報道発表(プレスリリース)というのは、

  • 資料配付 – 文書や写真を記者に配布したり、FAXを送ったり、Web公開したりする
  • 記者会見・説明会 – マスコミ関係者・記者にお知らせをして、会場に来てもらって説明する

というパターンがあります。当然記者側としては後者のほうが足を運ばなければならない分めんどくさいわけで、相当エライ人や有名人が出るか、実物を見ないとわからないというようなものでないと会見場まで来てくれません。お金のある企業なら、ホテルの宴会場みたいなところで盛大にやったりしますね。

で、自分は、「これは実物を見ないとおもしろみがわからない」と思ったので説明会形式にしたんです。案の定、100名くらいは入れる部屋に、集まった記者は10名ちょっと。

なんかスカスカだなあ、と思いながらも来てくれた方がみなさんメジャーな媒体の方で、翌日一般紙・業界紙・Webメディアに写真付きでいくつか記事になったんです。

するとその日から上に書いたようないろんなメディアから取材依頼が殺到。2〜3週間身動きが取れないくらいの忙しさ。12月にこのサイトを更新できなかったのはこれが原因です。

取材に来た人みんなに「この話、どこで知りました?」と聞いたんです。彼らの所属・契約する会社(報道機関)にも発表のお知らせと資料は送っているので、きっと社内で「こんなネタあるけど、そっちの担当じゃない?」みたいな感じで横に情報が流れたんだろうと期待してたんですが、返ってきた答えは「新聞で見ました」。しかも「讀賣で」という人がほとんど。ほかの全国紙にもいくつか載ったんですが。

もちろん讀賣さんの記事レイアウト&写真が良くて目についたのかも知れませんが、ここまで「讀賣で」発言が続くと、彼らの中でのメディアチェック順位として讀賣が上位にいるということなのではないかと。あらためて讀賣のパワーを知ると同時に、新聞がメディアのメディアになっているということが自分の中では新発見でした。「なんかネタないかなー」というとき、「こんなのあったよ」と話題にするためには、可搬性・一覧性が高く、数日のスパンであれば保存しやすい(保存してあること多い)新聞というのはかなりいいメディアなんじゃないかというのは想像できる話。

同じようなシチュエーションを考えた時、テレビやラジオだと、リアルタイムの放送を逃したらそれっきりですし、同時録音・録画をしていたとしても探すのが面倒くさいし、時間がかかる(5分のニュースを見る/聞くためには5分かかる)。ネットは保存性・検索性は高いですけど、検索するためにはその検索語を思い出さなければいけない。一覧性はそれなりにあるけどパソコンのディスプレイより大きくならない。そしてテレビにせよネット(パソコン)にせよ、その設置場所まで移動しなきゃいけない。

ずっとネット業界で生活してきて、個人的にも新聞は取らずにいるもので、つい「ネット最強」とか「既存メディアはもうだめだ」みたいな発言をしがちなんですが、絶対値で見て現在国内最強のメディアは讀賣新聞なのかな、と思った次第。

読売新聞の発行部数は全国・朝刊でほぼ1000万。家庭や職場の机の上、ホテルのロビーや網棚の上に置いてあって、最終的にどれくらいの人の目に触れるかわかりませんけど、1部あたり延べ100記事読まれるとして(もっと多いかな)、ページビュー(PV)換算すると1日10億PV。

一方、2004年10月20日時点でYahoo! JAPANが1日10億PV。数字だけ見ると一緒ですけれど、オークションだとか掲示板だとか検索だとか、何度もクリックを要求するコンテンツがあってやっと10億ですよ。株式市況のページなんか、新聞ならずらーっと見るだけのことを(そんなことあんまりしませんけど)、Yahoo!だったら何回検索をしなければならないか。

一方的に情報を伝達するだけのメディアで換算10億PVって、おそろしいことですよ。しかも「メディアのメディア」ですからその後にテレビや雑誌が追いかけてくるわけで、実質の換算PVはどーんと跳ね上がる・・・。

AlexaでYahoo! JAPANのサイト情報を見ると、オークション・メール・検索で全体の半分のトラフィックを占めていて、新聞と同じようなコンテンツ(ニュース・スポーツ・ファイナンス・天気など)のトラフィックを合計すると全体の20%くらいですね。

ということはYahoo! JAPANの「マスコミ力」は実質2億PV(一覧性のなさによるクリックの増幅効果は考慮しない)。最低でも読売:Yahoo!=5:1以上の差があるといえるのではないでしょうか。


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