チャールズ・エリス著『敗者のゲーム – なぜ資産運用に勝てないのか -』
これはほとんど古典的名著ですね。この本を読んでいるかどうかで人の投資行動はかなり変わると思います。
この本のポイントは、その題名の通り
- 証券(株式・債券)投資は敗者のゲーム(loser’s game)である
ということに尽きます。
「敗者のゲーム」というのは、プレーヤーのミスによって勝敗が決まるゲームのこと。一方「勝者のゲーム」はプレーヤーの好プレーによって勝敗が決まるゲーム。参加者のレベルが拮抗するゲームでは、「いかに失敗をしないか」というのが勝敗を決める要素になるんだと。
で、株式市場のいろんな例を挙げて、競争が進んでほぼ「効率的市場」になっている株式市場において、情報に偏りがない参加者同士での戦いは「敗者のゲーム」になっているということが理詰めで説明されます。たまたま勝つ人はいても、勝ち続ける人はいない。証券会社への手数料・税金・インフレを考慮に入れた上で、長期的に勝ち続けるのはプロでさえ難しいと。
そんな状況で、売買のタイミングを逃さない方法は「つねに市場にいる」=株を持ち続けることだ、と筆者はいいます。つまり、つねに市場にいれば、株価の上昇期に市場にいないというミスを犯さないから、この敗者のゲームに勝てるだろう、ということです。具体的には手数料の低いインデックスファンドを買い続けろ、という結論になります。こまかいところは本を買って読んで下さい。
ただしこれも、
- 長期的に株は成長する
- 「長期」とは人の一生と比較できるレベルの期間である
というのが前提であることには気をつけた方がいいですね。
たとえば、過去100年においては、数十年の期間でとらえれば長期投資はペイしたかも知れませんが、もしかしたらこの先は1000年規模での長期で考えないと株が成長しない世界なのかも知れないですよね。人の寿命はせいぜい80年で、実質投資活動ができるのはせいぜい50年くらいでしょうから、そういう時に株を買うのはバカですよね。
日々成長する赤ん坊を見て「小学校に入る頃にはシロナガスクジラなみに大きくなっているだろう」と言うような間違いをしていないかどうかは、考えてもいいかも知れない。
(結局、資本主義をどれだけ信じるかという話なんですが)
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『敗者のゲーム なぜ資産運用に勝てないのか』 (チャールズ・エリス 著)
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