『東洋経済』2004年11月6日号の特集「熱いぞ!ネット企業」で、熊谷正寿(GMO会長兼社長)×藤田 晋(サイバーエージェント社長)という対談がありました。最近GMOの熊谷さんはビジネス誌への露出が多いですね。ソフトバンク・ライブドア・楽天の次ぐらいに出てる感じします。ご自身のblogもがんばってらっしゃいますし。
個人的には盲導犬の育成を支援するサイトを作り始めた頃、ひとあし早くGMOが日本盲導犬協会のサイト全体のリニューアルを手がけていて、熊谷社長が「盲導犬くらぶ」という広報誌に登場していたりしたのを見て「ああ、あと数ヶ月動くのが早ければ」とくやしい思いをした覚えがあります。(・・・ってもボランティアで請け負えるほど私のいた会社は裕福ではありませんでしたが)
熊谷:ネットバブル崩壊を乗り越えた会社とそうでない会社とそうでない会社の分かれ目はビジネスモデルではなく、経営者、経営陣の資質につきるのではないでしょうか。
藤田:たとえば楽天のモールというビジネスモデルは、日本でしか成功していないですよね。あれは三木谷浩史社長が頑張った、経営者の気合いが大きかったと思います。
さらに、
藤田:ある大手出版社の役員が、ここ何年ネットしかないコンテンツは何だろうとずっと考えている、とおっしゃっていたのですが、それを聞いた瞬間、ああ、ダメだなと思いました。考えていること自体がもう無駄で、まずやってその結果を見てみる。次々とケースから学んでいかないとダメです。
これを読んで思い出したのが木村剛さんの『戦略経営の発想法』。
この本のメッセージは
- ビジネスモデルは後知恵だ
- ビジネスの原動力は金儲けの欲望ではなく強烈な使命感
- 理屈を考える前に自分が動け
といったものです。「ビジネスモデル(儲かる仕組み)」という考え方が間違っているとは言わなくても、「ビジネスモデルがあれば成功する」とか「ビジネスモデルがなければ成功しない」というものではない、と。そういう評論家的な分析をしている間に何か始めたほうがいいし、動き出さなければいられないという強い想いのある人間が経営者になるんだ、という話です。
上の対談で藤田さんが言っている「考えていること自体がもう無駄」というのがこれに重なりますね。
ネットビジネスだからといって初期投資は必ずしも小さくないはずなんですが、スピードがものを言う業界ですから「まずやってみる」ってのが大きいんでしょう。楽天なんかも、「インターネットモールはうまくいかない」ということがビジネスモデル論的には定説になっていた状況で、つねにカイゼンをけていまの地位に至ったわけです。以前、楽天のシステム改善担当の部長さんのお話聞いたことがありますが、そのスピード感覚たるやスゴイものでした(プレゼンもすごく速いテンポでびっくり)。しかも「いつ自分たちが負ける側になるかわからない」という危機感がある。
木村さんにしても、GMOにしても、楽天にしても、いろいろ悪口も言われると思いますが、「とにかく自分で動いている」というだけで、そこいらのしたり顔の評論家や記者よりよっぽどエライと思いますよ。
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熊谷正寿
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