価格.comは囲い込む。ユニクロはKISSする。

なんでそうみんな囲い込もうとするのかと。

カカクコム、「価格.com ID」導入でユーザー囲い込み

CNETの記事です。メールアドレスやパスワード、性別、郵便番号、生年月日といった個人情報を登録して無料で発行される価格.com IDを登録することで、カスタマイズされた情報が手に入る・・・と。

たとえばアマゾンとかでメールアドレスと名前・住所・カード情報を登録するのは、それが購買に必要だからですよね。いま価格.comが上記のような情報を集めようというのは、あからさまに「マーケティング情報を集めて企業に売りたいから」という話だと思うんですが、いかがでしょう? ホントに利用者の利便性を考えてのことなのだろうか?
(参考:価格.comのリリース[kakaku.com])

話は飛びますが、昨日ユニクロに行ってきました。相変わらず混んでましたが、Tシャツやなんかあれこれ買っても5,000円。

以前ユニクロって会員カードありましたよね? お買いあげ金額の何パーセントだかがポイントで貯まるという。でも2002年9月にその制度がなくなって[uniqlo.co.jp]、いまでは表示価格どおりにその場でニコニコ現金払い。

ポイントサービスってのも囲い込みの手段です。家電量販店のポイントカードはもちろん、コーヒーチェーンのスタンプもその一種だし、デパートのカードなんかもそう。こういうサービス(?)には

  • 次回の来店に結びつく
  • 実際の金額をわかりにくくさせるので、価格比較の意欲を下げる
  • ポイントが使われるのは購買の後だから、その場で値引きするより金利分だけ店が得をする
  • 使わないで終わってしまうポイントは店側の丸儲け
  • 換金/利用額に最低金額を定めることで「あとひとつでコーヒー杯タダ」とか「あといくら使えば商品券がもらえる」と余計な購買を誘える
  • 登録時に個人情報を取ることで、購買行動と結びついたマーケティング情報が手に入る

といったメリットがあって、それが有効だからこそ各店がこぞって採用し、私たちの財布はメンバーズカードでパンパンになっているわけです。

ところがユニクロはそれを止めたわけですよ。と、いうことは上のようなメリットよりも

  • 店員の稼働が余計にかかる
  • システム投資が必要
  • 個人情報の管理が大変
  • 「カード忘れたから今度にしよう」と客を逃す
  • 客の稼働もかかり、「煩わしさ」というイメージがついてまわる

といったデメリットのほうを重く見た、ということなんでしょう。

おそらくポイントカード制がうまくいく店(ブランド)とうまくいかない店ってのがあるんでしょうね。

そもそもユニクロは「あれもこれも定価の○%引き!」というような商売ではなく「エブリディロープライス」的な、いつ行っても安いお店ですよね。店舗の作りも倉庫のように衣料をどーんと積んで、勝手にカゴに入れてレジに持って行ってください、という飾り気のないスタイル。

そしてなにより品質が確か(一時期なんとなく安物イメージもありましたけど)。あまり表面的な流行やデザインを追わず、基本的には投資の世界の人が言う「KISS(Keep It Simple, Stupid!)」みたいなポリシーじゃないですか。「要は商品力なんだよ!」という感じで迷いを感じません。

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上のYomiuri Weeklyの記事の中で、ユニクロの中の人が「うちのような単一ブランドを扱う店は、カードポイントが強い来店動機にはなっていません」と言っていますが、単一ブランドであることが重要なのではなく、ブランドへの信頼感がちまちました価格比較を超えているということが重要なんだと思います。

「余計なこと考えたくない。とりあえず安くて新しいTシャツ欲しい。・・・あ、こんなところにユニクロが」という人のためのお店なワケでしょう。とりあえずユニクロ行けば安くて品質のいいモノがある。雑誌や評論家の能書きなしでお金が出せる。という風に顧客の頭の中で定番化しているからこそ、「囲い込みなんていらない」という戦略が取れる。

そう考えると、家電量販店の店頭で、財布の中にその店のカードがあるかどうかを確かめながら、「まずこれを買って○ポイントだろ、そのポイントであの付属品が買えるから・・・待てよ、アマゾンでもっと安くなかったっけこれ?」みたいなことで延々悩んでいるのはすごくカッコ悪いことに思えてきた。もっと簡単に、オンリーワンかつリーズナブル(に思える)な製品だけが並んでいて、「これ買っておけばOK!」みたいな店が増えないものか。「別館」の「いいものをすこしだけ」コンセプトの延長はそこに行き着くんですが・・・。

さて、「とりあえずそこに行けば相場がわかる」というわかりやすさのあった価格.comが、今回のニュースで「たくさんのブランドの商品情報を並べた情報量販店。機能もたくさん、あれやこれや。ついでにマーケティングにも手を出します」になりそうな予感。せめて量販店同様「会員にはもれなくポイントバック!」とかやらないと納得してもらえないと思うんだけどなあ。

こういう意見は今後続出するだろうと思いますが、それでも価格.comが囲い込みに走っているということは、

  • 価格.comは自分のポジションをわかっていない
  • 価格.com自身は、自分をオンリーワンブランドだとは考えていない

のどちらかですね。

Froogleや、MSの新サービス[japan.internet.com]が気になるのかな・・・。


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